工事の見積書テンプレート
工事の見積書は「何にいくらかかるか」が伝わることが大切です。材料費・労務費・機械経費を分け、法定福利費と諸経費を明示し、工期と支払条件、追加・変更工事の扱いまで書いておけば、完成後の精算で揉めずに済みます。
登録不要。小計・消費税・前金を自動で計算し、そのまま印刷または PDF で保存できます。
無料ダウンロード(登録不要):Excel / Word
下の見積書を、そのまま使えるファイルにしました。項目・数量・単価を入れると、金額・消費税・合計は数式で自動計算されます。
このファイルの使い方
- ダウンロードして Excel、Google スプレッドシート、Numbers、Word または Google ドキュメントで開きます。
- 発行者と宛名を入れ、項目と単価を自社のものに書き換えます。Excel 版は金額・消費税・合計が自動で計算されます。
- お支払い条件を確認し、PDF で保存してお客様に送ります。
項目の例
| 項目 | 単位 | 数量 | 金額の例 |
|---|---|---|---|
| 解体・撤去工事(産廃処分費含む) | 式 | 1 | 8万〜20万円 |
| 内装下地・ボード工事 | ㎡ | 40 | 4千〜8千円/㎡ |
| 電気設備工事 | 式 | 1 | 15万〜40万円 |
| 法定福利費(事業主負担分) | 式 | 1 | 労務費 × 保険料率 |
| 諸経費(現場管理費・一般管理費) | 式 | 1 | 工事費の 5〜15% |
金額はあくまで例(税抜)で、相場を示すものではありません。消費税 10% を加算し、適格請求書発行事業者は登録番号も記載してください。
見積書に書いておくこと
- 工事名、工事場所、工事範囲と、見積の前提にした図面・仕様書の版や日付。
- 工期(着工予定日・完成予定日)と、天候や設計変更による延長の扱い。
- 材料費・労務費などの内訳と、社会保険の事業主負担分にあたる法定福利費。
- 見積範囲外の別途工事(申請手数料、施主支給品、夜間・休日作業など)。
- 支払条件、見積の有効期限、登録番号と税率ごとの消費税額。
よくある失敗
- 「一式」だけで出し、変更があったときに金額の根拠を説明できない。
- 口頭で追加工事を受け、精算時に金額で揉める。
- 法定福利費や諸経費を入れずに出し、受注後に利益が残らない。
前金・残金・有効期限
例として、契約時 30%、中間 30%、完成引渡し後 40% のように分ける方法があります。元請との取引では「月末締め翌月末払い」など締め日と支払日を決めることも多いので、見積書に支払条件として明記します。有効期限は 1 か月程度とし、範囲外の変更は事前に変更見積を出して合意してから施工する旨を書きます。
工事見積書の構成:直接工事費・法定福利費・諸経費
工事見積書の金額は、次のように積み上げると説明しやすくなります。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 材料費 | 現場に残るもの:ボード、配線、設備機器、仕上げ材 |
| 労務費 | 職人・作業員の人件費(工種ごと、または工程ごと) |
| 機械経費・運搬費 | 重機・足場・高所作業車のリース、運搬 |
| 法定福利費 | 健康保険・厚生年金保険・雇用保険の事業主負担分 |
| 諸経費 | 現場管理費と一般管理費 |
材料費・労務費・機械経費が「直接工事費」です。そこに法定福利費と諸経費を加えて税抜合計とし、最後に消費税 10% を加えます。
建設業法と「材料費等記載見積書」
令和 7 年 12 月 12 日に施行された改正建設業法により、建設業者は工事内容に応じて、工事の種別ごとの材料費・労務費・法定福利費などの内訳と、工程ごとの作業と準備に必要な日数を書いた見積書(材料費等記載見積書)を作成するよう努めることとされました。国土交通省のガイドラインでは、元請は下請にこの見積書の提出を求め、その内容を尊重することとされています。
つまり「一式○○円」だけの見積書ではなく、内訳と工期の日数が分かる見積書が求められる方向です。
計算例:店舗内装工事
以下の金額と率は計算方法を示すための例で、相場ではありません。
| 項目 | 金額(円) |
|---|---|
| 材料費 | 600,000 |
| 労務費 | 500,000 |
| 機械経費・運搬費 | 100,000 |
| 直接工事費 | 1,200,000 |
| 法定福利費(労務費 × 15%、例) | 75,000 |
| 諸経費(直接工事費の 10%、例) | 120,000 |
| 税抜合計 | 1,395,000 |
| 消費税 10% | 139,500 |
| 税込合計 | 1,534,500 |
法定福利費の率は加入している保険の種類や年度で変わります。実際には、自社の保険料率を労務費に掛けて計算します。
工期と支払条件の書き方
工期は「着工予定日」「完成予定日」に加え、工程ごとの日数を書いておくと、遅れたときの説明がしやすくなります。支払は出来高や工程に合わせて分けます。
| 支払 | 時期 | 割合 | 金額(税込) |
|---|---|---|---|
| 着手金 | 契約時 | 30% | 460,350 |
| 中間金 | 下地・設備工事完了時 | 30% | 460,350 |
| 残金 | 完成引渡し後 | 40% | 613,800 |
| 合計 | 100% | 1,534,500 |
追加・変更工事の扱い
施工中に追加や変更が出たら、着手する前に変更見積を出して合意します。単価は元の見積書と同じものを使い、減額になる項目も同じ書式で書きます。「変更工事は書面で合意した金額で精算する」と見積書に一文入れておくと安心です。
インボイス制度への対応
請求の段階では、適格請求書(インボイス)として、登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとの対価の合計と適用税率、税率ごとの消費税額、交付先の名称を記載します。見積書の段階から登録番号と税率ごとの消費税額を入れておけば、そのまま請求書に移せます。見積書の書き方全般は〈見積書の書き方〉で、請求書は〈請求書の書き方〉で解説しています。
単一の工種なら、リフォーム工事、水道・電気工事、塗装工事、防水工事のテンプレートも使えます。
参考
- 国土交通省:社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン(材料費等記載見積書、法定福利費の確保)
- e-Gov法令検索:建設業法(第 20 条 建設工事の見積り等)
- 国税庁:No.6303 消費税および地方消費税の税率
- 国税庁 インボイス制度 適格請求書発行事業者公表サイト:登録番号の構成
よくある質問
法定福利費とは何ですか?
工事に従事する労働者の健康保険(介護保険を含む)・厚生年金保険・雇用保険の事業主負担分です。国土交通省のガイドラインでは、見積時から必要経費として確保し、内訳として明示することが求められています。
従業員のいない一人親方でも法定福利費を書きますか?
法定福利費は雇用している労働者の保険料の事業主負担分なので、従業員がいなければ通常は発生しません。人を雇う工事では、その人数分を計上します。
諸経費には何が入りますか?
現場管理費(現場の管理・交通・保険・仮設の消耗品など)と一般管理費(事務所の経費など)です。率で出す場合も、何の費用かを一言添えると施主に伝わりやすくなります。
インボイスの登録番号はどう書きますか?
「T」と数字 13 桁です。法人は T と法人番号、個人事業者は T と国税庁が割り振った 13 桁で、マイナンバーは使われません。見積書はインボイスそのものではありませんが、請求書と同じ書式にしておくと後が楽です。
消費税は内税と外税、どちらで書きますか?
どちらでも構いませんが、工事は金額が大きいので、税抜金額と消費税額(10%)を分け、税込合計も書くのが分かりやすい書き方です。
このテンプレートはそのまま使えますか?
はい。無料の見積書作成ツールで項目と単価を入力すると、小計・消費税・前金が自動で計算され、印刷または PDF で保存できます。登録は不要です。